語り手:夏川雄介さん、郡司武司さん、遠藤剛さん、中山晴奈さん、
樋口幸代さん、片岡清高さん、中原理さん、横山欣司さん、中尾久泰さん
聞き手:松浦廣樹、長澤剣太郎、木内俊克
(東京大学建築学専攻・ツギ_ツギ研究スタッフ)

ツギ_ツギでは、「街の記憶をみんなでいただく」をテーマに、11月4日のイベントで提供する「食」のメニューを発見する為、三筋、小島、鳥越で過ごす方々の思いがつまったメニュー探しのインタビューを4回にわたり繰り返してきました。第4話で紹介した「おでん」は、実際に東京都台東区三筋2丁目6−2 マキタビル1Fを会場としてお借りして、皆さんに提供する予定です。
シリーズで展開してきた三小鳥家の人々最終話の今回は、その他実際に11月4日にイベントで提供させていただく運びとなったメニューを、伝授いただいた街の方々のお話と合わせて一挙公開します!

どれも当日お越しいただければ、イベント会場で実際にお食事いただけます。ぜひ街の記憶を隠し味に感じながら、当日お腹も気持ちも満たされにいらしてください!

「サツマイモを 片栗粉を水でといたのにとおして 高温のラードでがーっと揚げて まぁ周りがサクサクのフライになってそこに塩をかけるだけなんだけど 誰に食わせても『うまい!』って言うからね!!」

子どもの頃、特にお店で扱っていたわけではないものの、コロッケやカツを出していたお肉屋さんだからこそ仕事の合間につくっていたサツマイモ天が、最高のおやつだったと思い出を語ってくださった、松屋・遠藤さん。「まぁでも本当にたいしたことやってたわけじゃないから」とはにかみながらも、お肉屋さんの息子さんとして育ったからこそ近くにあったサツマイモ天の美味しさは、当時の街の空気と相まって最高の思い出として遠藤さんの中に息づいているようです。

路地裏を駆け抜けて、夏には長屋の屋根に上り、友達と一緒に大きな隅田川の花火を見上げながらほおばっていたのがこのサツマイモ天だったそう。胸が熱くなりますね。

そんな昔の思い出をしっかり受け継ぎながら、現在は土曜限定の焼豚屋さんとしてリニューアルした松屋さんは、ジャズが流れるカッコいい焼豚屋さんとして横丁の「いま」、新しい伝統を形づくっています。近頃は横丁にも若い世代の方がすごく増えたという遠藤さんが、いまの子ども達も絶対好きになること間違いなしとお墨付きのサツマイモ天、ぜひ横丁を歩きながらぱくぱくいただいてみては!

「しょうがとニンニクと豆板醤 焼きます そこにひき肉を焦げないように 中火でとろっと 豚だけのちょっといい赤身と脂身のあるやつね それを炒めます 色もついてきて炒め終えたなというところで 出し汁を少し それでそのところにひと茹でして少し固くしたお豆腐 でオイスターソース それとうちの場合はお味噌 香りのいい桜味噌 それと江戸甘 玄米完熟 後はみじん切りにしたネギ入れて 辛みをつけるんだったら山椒 山椒の辛さが麻婆豆腐の辛さになるから で 最後片栗粉で少しかためるぐらい そういうもんです!」

伝統の味、江戸の味を今に伝える美味しいお味噌で有名な郡司味噌漬物店。その社長さん、料理には一言も二言もある郡司武司さんから、郡司味噌漬物店特製のまかないごはん、麻婆豆腐のつくり方を教えていただきました。お聞きしているだけでお腹が空いてくる!


下町の味を守ってきた郡司味噌さん、さすがに美味しいものを一番よくご存知です。ふつうの麻婆豆腐の印象よりはしっかり味噌の味が残っていて、複雑で奥深い味が舌の上に広がります。

仕事の合間にかきこむまかないごはんなので、その流儀は熱々のご飯と麻婆豆腐を、はふはふ一気にかきこむ食べ方。お口をやけどしないように気をつけていただきつつ、下町の風情と味をぜひご賞味ください!

「元々はただお菓子づくりができるだけの調理場を探してたんですけど やりはじめてみると街の方が本当皆さんよくしてくれて それでなるべく普段のおやつ 駄菓子屋みたいな感じで使ってもらえるお店になればなって思いはじめて 子どもが一枚クッキー買っていけたり お母さんが自分のご褒美にとか クッキー教室みたいなのもできたらいいですよね」

と街のお菓子屋さんとしての思いを話してくださった、GHEUREUXの樋口さん。ツギ_ツギの「街の記憶を、みんなでいただく」企画に関心をお持ちいただき、当日もスイーツを提供してくださることになりました!祝

3話でも紹介した、実は一番おいしい余りものをごちゃまぜにしてつくるトライフルのような、その日そのときその季節ならではのお菓子か、ツギ_ツギ#04特製のお菓子をおつくりいただけるのか、はたまた定番の変わらないスタンダードこそまかないごはんへのベストなツギ_ツギなのか。当日発見して、きっとウフフと微笑みたくなるスイーツ、乞うご期待です♪


三筋・小島・鳥越では、昔からの思いと新しい気分がしっかり結びついていまの風景が日々紡ぎ出されています。この街の記憶、ぜひ皆さんで一緒にいただきませんか?

(文責:ツギ_ツギスタッフ・木内俊克)

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